スキーヤーの後傾を直す方法|原因の特定と感覚のズレが9割
「もっと前に乗って」
「足首を入れて」
と何度言われても、後傾がなかなか直らない…。そんな悩みを抱えていませんか?
実は、後傾は「前に乗ろう」と意識するだけでは直りません。
私たちはこれまで1000人以上を指導してきましたが、後傾を直せない人ほど「意識」で何とかしようとして、かえって沼にハマっています。
本当に大事なのは、あなたが後傾になっている「原因」を特定することと、「感覚」と「実際の現象」のズレを知ることです。
この記事では、整地(圧雪された斜面)での後傾を直すための考え方と、自宅・雪上でできる具体的な直し方を順番に解説します。
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SnowHub(スノーハブ)
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執筆:スキーヤーワタル(SAJクラウンプライズ / CEO)
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結論:スキーの後傾は「意識」より「原因の特定」で直る
先に結論からお伝えします。後傾を直す近道は、「前に乗ろう」と気持ちで頑張ることではなく、自分がなぜ後傾になっているのか、その原因を特定することです。
後傾は、重心が後ろに落ちてしまっている「現象」です。原因は人によってバラバラで、心理的な要因(スピードへの恐怖)、骨格的な要因(骨盤の向き)、技術的な要因(重心移動のミス)などさまざま。
原因が違えば直し方も変わるので、まず「自分はどのタイプか」を知ることがスタート地点になります。
ワタルレッスンでも「前に乗って」とだけ言われて直らなかった人が本当に多いです。原因が分かると、直し方は一気にシンプルになりますよ。
大原則|スキーヤーの後傾は「現象」で、あなたの感覚はアテにならない
後傾を直すうえで、最初に知っておいてほしい大原則があります。それは、後傾は「現象」であって、自分の「感覚」とは一致しないことが多いということです。
「感覚」と「現象」は別物
感覚とは「前に乗っているつもり」「真ん中に乗っているつもり」という、頭の中のイメージのこと。一方現象とは、実際に外から見て板や身体がどうなっているか、という客観的な事実です。この2つは、しばしばズレます。
- 「前に乗ってる」つもりなのに、現象は後傾になっている人
- 「真ん中に乗ってる」つもりで、実際に真ん中に乗れている人
- 「後ろに乗ってる」つもりなのに、実際は真ん中に乗れている人
つまり、自分の感覚を信じて「前に乗っている」と思い込んでいても、現象としては後傾、ということが普通に起こります。
だからこそ、動画で自分の滑りを撮る・第三者に見てもらうなど、現象を客観的に確認することが欠かせません。



スキーうまい人っていうのは感覚と現象のズレを把握したりわざと使えたりするんですよ!
感覚を調整できれば、改善の見込みあり
ここが大事なポイントです。「真ん中に乗っているつもり」なのに「前傾が強すぎる」と言われる人は、その前傾の感覚でちょうどいい、と調整ができます。
違和感はあっても「それでOK」と言われる感覚に寄せていける人は、改善の見込みが十分にあります。
スキーで後傾になる主な原因
後傾の原因は人それぞれですが、整地で後傾になる人には共通して見られるパターンがあります。まずは自分がどれに当てはまるかチェックしてみてください。
原因①:急斜面で「いつもと同じポジション」のまま入る
緩斜面で取っているポジションのまま急斜面に入ると、斜度の変化に置いていかれて重心が後ろに残りやすくなります。斜面が急になるほど、より前に重心を運ぶ意識が必要です。
原因②:目線が下がっている
足元や手前ばかりを見ていると、自然と上体が丸まり重心が後ろに落ちます。目線を進行方向の先へ送るだけで、ポジションが前に戻ることは少なくありません。
原因③:重心移動がうまくできていない/スピードに置いていかれる
ターンの切り替えで重心をスムーズに前へ運べないと、板だけが先に行って身体が遅れ、後傾になります。スピードが出たときに身体が置いていかれる感覚がある人も、このタイプです。重心移動の順番については、こちらの記事で詳しく解説しています。


原因④:骨盤が後ろに引けている(改善に時間がかかるタイプ)
長年の生活習慣などで骨盤が後ろに引けてしまっている人は、後傾の改善にやや時間がかかります。これは技術というより身体の使い方・姿勢の問題なので、オフトレーニングも含めてじっくり取り組む必要があります。



僕も骨盤後傾でかなり苦労しています…
デスクワークの方はこういう癖あるのかな
「足首を入れろ」だけではスキーヤーの後傾が直らない理由
後傾の人がよく言われるアドバイスが「足首を入れろ」です。間違ってはいませんが、これだけで直る人はかなり稀です。
理由はシンプルで、足首を入れるには、まず重心が足首の上あたりにないと入っていかないからです。
その場で立って試してみると分かりますが、体が後ろに残ったまま足首だけを曲げようとしても、物理的に入りません。重心が後ろにあるのに足首だけ入れろ、というのは無理な話なのです。
改善法①:つま先を上に上げる意識
足首を入れやすくする簡単なコツが、つま先を上に上げる意識です。その場で立って、つま先を持ち上げるように意識してみてください。
すねが前に倒れ、足首が自然に入っていくのが分かるはずです。これは半ば無理やり足首を入れるための矯正として有効です。
改善法②:おへそあたりの重心を前へ
つま先上げと合わせて、おへそあたりの重心をもっと前に運ぶ意識もプラスしてください。
足首だけでなく、身体の中心(重心)ごと前に移すことで、ようやく足首が機能する位置に乗れます。「足首」と「重心」はセットで考えるのがコツです。



「足首入ってないよ!」みたいな現象を指摘された時って足首じゃなくて他のところに原因あるってあるあるです。



「重心が後ろだから足首入ってないんだよ」みたいなアドバイスの方が的確ですね!
注意点:整地とコブで「正しいポジション」は変わる
後傾を直すときに混乱しやすいのが、「とにかく前に乗ればいい」という思い込みです。実は、整地とコブでは、取るべきポジションが変わります。
整地(圧雪斜面)
SAJが言う「センターポジション」が基本。前に行きすぎず、適切な真ん中に重心を置く。板を正しく機能させて滑る。
コブ斜面
センターより20〜30cmほど前に乗る「パワーポジション」。前傾気味でちょうどいい。板を前方向に詰まらせて使う。
整地では、前に行きすぎず「適切な真ん中」に重心を持っていくのが正解です。
一方コブでは、センターと言われる位置よりも体感で20〜30cmほど前に乗るくらいがちょうどいい。
理由は、コブではスキーを前方向に詰まらせたいから。
センターに乗るとスキーが正しく機能して推進力の方向に働いてしまい、コブではその方向に使いたくないのです。
このように「前に乗ればいい」わけではなく、前傾でいいのはコブの話。整地では適切な真ん中に収めるのがゴールです。コブのポジションについては、別記事で詳しく解説していく予定です。
後傾を直すときにやってはいけないこと
最後に、後傾を直そうとするときにありがちなNGをまとめます。
- 上体だけを前に倒す…重心は後ろのまま、お辞儀のように上体だけ折る。これでは後傾は直りません。
- 「前へ」とひたすら意識するだけ…原因を特定せず気持ちだけで前に乗ろうとしても、現象は変わりにくいです。
- 足首だけを無理に入れようとする…重心が後ろに残ったままでは足首は入りません。重心とセットで考えましょう。
- 自分の感覚だけを信じる…感覚と現象はズレます。動画や第三者の目で必ず現象を確認しましょう。
急斜面でのスピードへの恐怖が後傾につながっている人は、まず「どこでも止まれる」安心感を作るのが先です。こちらも参考にしてください。
スキーの後傾に関するよくある質問(FAQ)
後傾はどのくらいで直りますか?
原因によって大きく変わります。目線や急斜面でのポジションといった技術的な要因なら比較的早く改善しますが、骨盤が後ろに引けているなど身体の使い方が原因の場合は、オフトレも含めて時間がかかります。まずは自分の原因を特定することが、最短ルートです。
道具(ブーツや板)を変えれば後傾は直りますか?
道具が合っていないことで後傾が出る場合もありますが、多くの人はまず重心移動や目線といった技術・感覚の問題です。道具を変える前に、自分の後傾の原因が技術なのか身体なのか道具なのかを切り分けることをおすすめします。
整地とコブでポジションは本当に違うのですか?
はい、違います。整地はセンターポジションが基本ですが、コブではセンターより体感20〜30cm前に乗るパワーポジションが必要です。コブはスキーを前方向に詰まらせたいため、整地と同じ感覚で入ると後ろに置いていかれます。



コブはセンターポジションで滑ろう!
っていう指導者には会ったことがありません。
(※僕はね)
まとめ:スキーヤーの後傾は原因を特定すれば直せるかも!
スキーの後傾を直すために大切なのは、「前に乗ろう」という意識ではなく、次のポイントでした。
- 後傾は「現象」。自分の感覚と現象はズレるので、動画などで客観的に確認する
- 後傾の原因(急斜面・目線・重心移動・骨盤など)を特定することが最優先
- 「足首を入れろ」は重心とセット。つま先を上げ、おへそを前へ運ぶ
- 整地はセンター、コブはパワーポジション。前傾でいいのはコブだけ
「一生直らない」ということはありません。
原因さえ特定できれば、後傾は必ず改善に向かいます。とはいえ、自分の後傾の原因を自分で見抜くのは難しいもの。
最短で直したい方や、自分のタイプを正確に知りたい方は、SnowHubのレッスンで一度チェックしてみてください。これまで1000人以上を指導してきた経験から、あなたの後傾の「根本原因を」一緒に特定します。



オンライン・対面どちらのレッスンでも、動画でご自身の「現象」を確認しながら後傾の根本原因を特定できます。まずはお気軽にご相談ください(公式ラインなどでOK)




