【謎のゲレンデ】一般人立ち入り禁止!?独特な生き残りを果たしたマウントパーク津南スキー場

「駅から徒歩1分でリフトに乗れるスキー場が、かつて新潟にあった」
そんな話を聞いて、新潟県津南町の津南駅までやってきました。
今回訪れたのは「マウンテンパーク津南」。潰れたスキー場だと思っていましたが、調べてみると一般営業を終えたあと、競技用のゲレンデとして今も使われているという情報が出てきました。
この記事では、現地取材と古い資料をもとに「どんなスキー場だったのか」「今どう使われているのか」を探っていきます。
津南駅の裏山にあった「駅直結」のスキー場
津南駅の裏手には斜面が広がっていて、かつてはここからリフトが伸び、山の上まで上がれるようになっていました。
まずは駅周辺に残る手がかりから、スキー場の姿を読み解いていきます。

駅前の看板から見える「スキー推しではない町」
駅前には観光マップの看板がありましたが、スキー場の存在はあまり前面に出ていませんでした。
看板に書かれた公式サイトのURLは「https」ではなく「http」。Googleが「s」を付けるよう推奨し始めたのが2014〜2018年頃なので、看板自体はおよそ10年前のものと推測できます。
つまり10年前の時点で、町としてはスキーを強く押し出してはいなかったと読み取れます。町の図書館で資料を調べてみても、スキー場を町を挙げて推しているような文献はあまり見つかりませんでした。

町が推しているのはジオパークと河岸段丘

代わりによく目にしたのが「苗場山麓ジオパーク」と「日本一の河岸段丘」の看板です。
河岸段丘とは、川による侵食と堆積が繰り返されて、階段状になった地形のこと。津南は全国的に見ても珍しい地形で、観光としてはこちらを押していきたいのだろうと感じました。
古いパノラマ写真に残るリフトの跡
駅には、上から町を見下ろしたパノラマ写真も飾られていました。20〜30年ほど前のものと思われ、斜面の草が刈られていて営業中の様子が分かります。
写真には線路の向こう側にリフト乗り場があり、山の上までまっすぐ伸びていた痕跡が写っていました。駅前の飲食店にもリフトがかかった昔の写真が飾られていて、本当に駅からすぐリフトに乗れる構造だったようです。

駅隣接のスキー場は、今では全国的にも珍しい存在です。かつては面白山スキー場や土樽スキー場などが同じようなタイプでした。
ただし駅側の斜面はかなりの急斜面。上級者向けのコースを思わせる傾斜で、初心者が滑って駅まで降りてくるのは難しかったはずです。
- 津南駅の裏手からリフトが伸びていた
- 町の観光はジオパーク・河岸段丘が中心
- 駅側の斜面は初心者には厳しい急斜面
1989年のスキー雑誌に載っていたマウンテンパーク津南
愛読している1989年のスキー雑誌にも、このスキー場が掲載されていました。当時の名称は「マウントパーク津南」で、その後現在の名称に変わったようです。

「津南駅から徒歩1分でリフト乗り場」
雑誌には、津南駅から徒歩1分でリフト乗り場に着く、公共交通で便利なスキー場として紹介されていました。
とはいえ、駅の時刻表を見ると電車は1日10本ほど。当時の本数は分かりませんが、アクセスが良いとは言い切れない面もあったかもしれません。
当時から競技向けの一面があった
雑誌によると、人気だったのは最上部にある幅の広い「スカイビューコース」。大回転コースなどは大会やポール練習にも使われていたそうで、この頃から競技寄りの側面があったことが分かります。
また、1989年の時点で第2リフトは運休中と記載されていました。
- 1日券:2,800円
- 回数券:1,800円
- 駐車場:約150台
リフト券はかなり安く、駐車場も150台ほどと小規模。駅から来ることを前提に作られたゲレンデだったのかもしれません。
- 駅から徒歩1分でリフトに乗れた
- 当時から大会・ポール練習に使われていた
- 駐車場150台ほどの小規模ゲレンデ
現地に残るゲレンデの痕跡
実際に斜面の近くまで上がってみると、木が不自然に生えていない帯状のエリアがありました。ここは間違いなくスキー場のコースだった場所です。
駅で見たパノラマ写真とも位置関係がほぼ一致します。ただ、駅下から上がっていたリフトの残骸は見当たらず、すでに撤去されているようでした。

見えていたのは「チャレンジコース」と「セーフティコース」と思われるエリア。さらに上にはファミリーゲレンデがあったと考えられます。
周辺はかなりの急斜面でハードな地形。家族連れ向けというより、どちらかといえば玄人向けのスキー場だったのではないでしょうか。
町の発展とスキー場がリンクしていない
高台から見下ろすと、町の作りがよく分かります。町が栄えているのは駅側ではなく、車通りの多い幹線道路沿いです。
この道は右へ行けば長野県の栄村や野沢温泉方面、左へ行けば湯沢方面や十日町方面へつながる交通の要所。豪雪地帯でもあり、メインの交通手段は車です。
駅を起点に作られたスキー場と、車社会で発展した町。この2つがうまく噛み合っていなかったのではないか、というのが現地を見ての正直な感想です。
蔦だらけのリフトとナイター照明
展望台方面から戻る途中、リフトの跡を発見しました。支柱には草木が生い茂っていて、このリフトは間違いなく使われていません。
周囲には等間隔に照明が立っていて、ナイター営業も行っていたことが分かります。このあたりは緩斜面で、ファミリーゲレンデの跡かもしれません。

- 駅側のリフトは撤去済み
- 急斜面中心の玄人向けゲレンデ
- ナイター営業の痕跡も残っている
今も動いている?競技用ゲレンデとしての証拠
かつての駐車場と思われる場所まで来ると、目の前に草がきれいに刈られたコースが見えました。駐車場の広さも、雑誌にあった150台とほぼ一致します。
建物には蔦が絡まり廃墟のようにも見えますが、「関係者以外立入禁止」の表示があり、バスケットコートも手入れされていました。廃墟にしてはきれいすぎます。

パトロール小屋に残るアルペンポールとスノーモービル
パトロール小屋と思われる建物には「マウンテンパーク津南スキー場」の文字が残っていました。
周りにはアルペン用のポールやスノーモービルが置かれていて、置き方を見る限り今も使われていそうな雰囲気です。

草刈りされたリフト沿いと、電気が通うキュービクル
蔦だらけのリフトとは別に、支柱周りがきれいに保たれたリフトもありました。リフト沿いの草まで刈られているのは、使っているからこそでしょう。
さらに、白い小屋のような設備(キュービクル)からは小さく「ブーン」という重低音が聞こえました。以前電気関係の仕事をしていた経験から言うと、これは電気が通って稼働している音です。
電気を契約しているということは、リフトを動かす予定があるか、実際に動かしている証拠と言えます。

タイム掲示板とスポーツくじの助成
リフト沿いにはレースのタイム掲示板もありました。雑誌にあった「大回転コース」がこのあたりで、今も大会に使われていると考えられます。
2024年1月の津南町公式ホームページには、スポーツくじ(toto・BIG)の助成を受けて「第3ペアリフト」を更新したという記事がありました。掲載写真と照らし合わせると、修繕されたのはまさにこのリフトです。
なお、事前調査では「リフトのワイヤー1,620mを交換」という資料も見つけましたが、1989年のゲレンデマップにはこの長さに合うリフトが見当たりません。89年以降に新設されたリフトがあるのかもしれません。

- コースもリフト周りも整備されている
- キュービクルに電気が通っている
- 2024年に第3ペアリフトを更新
ゲレンデ上部から見たコースの難しさ
ゲレンデ上部まで上がると、使われているコースが一望できました。斜度は上級〜中級が混ざり、中上級者向けといったところです。

ただ、斜面が大きくうねっていて、基礎スキーの総滑降でここを滑るとなるとかなり難しいコースです。
ワタル急だから難しい、緩いから滑りやすい、というわけではありません。斜面には「癖」があって、起伏にやられることも多いんです。ここは正直、僕も苦手なタイプのコースですね。
山頂の展望台のような設備に上ると、さらに全体が見渡せます。コースはそれほど長くないため、レースをやるにしても大回転がギリギリの規模だと思います。

駅から来たファミリーは帰りが大変だった?
ゲレンデマップを見ると、駅からリフトを乗り継いで上がれば、ファミリーゲレンデ自体は比較的緩やかです。
ところが駅へ戻るには、急斜面のチャレンジコースを通るしかなさそうなんです。ラビットコースで迂回できるとの記載もありますが、どちらにしても家族連れ向けの動線とは言えません。
おそらくファミリー層は、上部のロッジや駐車場に車で来る運用だったのでしょう。
- 起伏の多い中上級者向けコース
- レースは大回転が限界の長さ
- 駅への帰り道は急斜面のみ
開業から一般営業終了、そして現在の使われ方
資料によると、開業は1965年、一般営業の終了は2015年。そこから約10年、一般向けの営業はしていない状態が続いています。
最盛期には津南町全体で年間22万人ほどのスキーヤーが訪れていたそうです。一方、2019年頃にはこのスキー場の来場者が年間3,000人ほどまで減っていたという資料もありました。
営業日数を90日程度と考えると、単純計算で1日あたり約33人。ごくわずかな来場者数で、一般営業を続けるのは厳しかったことがうかがえます。
競技・授業・アウトドアの拠点に
現在はアルペン競技のトレーニングや大会に加え、ロッジ近くの舗装コースはローラースキー用として、課外授業などにも使われているようです。インラインスケートができる設備もあります。
訪れた日はテントを張っている人の姿もあり、奥の池のほうにはアクティビティ施設もありました。スポーツに特化した環境としては、かなり整っていると感じます。

一般営業を終えて競技に全振りしたスキー場は、本州ではほとんど聞いたことがありません。菅平のパインビークは競技色が強いものの、一般営業もしていてファミリー層も訪れています。
雪に恵まれたローカルゲレンデの多いエリア
津南は豪雪地帯で、基本的に雪に困ることはありません。2020年は雪が少なかったという記録もありますが、すぐ近くには栄村もあり雪には恵まれた地域です。
近隣には松之山温泉スキー場や栄村のさかえ倶楽部スキー場など、ローカルで良いゲレンデが点在しています。松之山はコブも滑れて、ポールも張っているいいスキー場です。
- 1965年開業、2015年に一般営業終了
- 現在は競技・課外授業・キャンプに活用
- 競技特化のスキー場は本州では珍しい
まとめ:一般営業終了後も生き続ける珍しいスキー場
マウンテンパーク津南は、駅から徒歩1分でリフトに乗れるという珍しいスキー場でした。
一般営業は終わったものの、リフトは更新され、コースは手入れされ、今も競技用ゲレンデとして生き続けています。閉鎖ではなく「形を変えて残る」という道をたどった、珍しいスキー場です。
- 駅直結の急斜面ゲレンデだった
- 2015年に一般営業を終了
- 今は競技用ゲレンデとして稼働
今回の内容はあくまでSnowHubの独自調査です。手探りの部分もあるため、事実と違う点があるかもしれません。
「昔ここで滑っていた」「今の使われ方を知っている」という方は、ぜひYouTubeのコメント欄で教えてください。
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