【保存版】スキーの外向とは?ターン後半で安定する4ステップ|正対・内向・外傾の違いもインストラクターが解説
「もっと外向を取って!」とレッスンで言われたけれど、何に対して、どのくらい外を向けばいいのか分からない。ターン後半がなぜか不安定に感じる。そんな悩みを抱えていませんか?
その気持ち、とてもよく分かります。外向は「何に対しての向きか」を知らないまま形だけをマネすると、腰外れや、板をしっかり踏めない滑りにつながりやすい姿勢です。上半身だけを捻って外向を作ろうとして、かえってバランスを崩している人も少なくありません。
そこでこの記事では、スキーの外向の意味、正対・内向・外傾との違い、上半身で作らない正しい外向の考え方、出るタイミング、プルークで分かる「適量」の目安、練習の4ステップ、やりすぎNGまでをまとめて解説します。
スキーの外向とは?結論:ターン後半に体を少しだけ外へ向ける姿勢
結論からお伝えすると、ターンを安定させる外向は「ターン後半に、スキーの向きに対して体が若干外側を向いている状態」です。大きく捻る必要はありません。
ただし、「何に対して外を向くのか」と「どこから向きを作るのか」を勘違いすると、まったく違う動きになってしまいます。ここから順番に整理していきましょう。
外向=スキーの向きに対して体が外側を向くこと
外向(がいこう)とは、スキー板の向きに対して、体の向きがターンの外側を向いている状態のことです。左ターンなら板より右側を、右ターンなら板より左側を体が向いているイメージです。
外向・正対・内向の違い
外向とセットで覚えたいのが「正対(せいたい)」と「内向(ないこう)」です。どれもスキーの向きと体の向きの関係を表す言葉です。
| 姿勢 | スキーに対する体の向き | 主に出るタイミング |
|---|---|---|
| 正対 | スキーと体の向きが一致 | ターン全体の基本 |
| 内向 | 体がターンの内側を向く | ターン前半(谷回り) |
| 外向 | 体がターンの外側を向く | ターン後半(山回り) |
正対
内向
外向
ワタル僕自身は、基本的にずっと「正対」くらいの気持ちで滑っています。なので、滑りの中で極端な内向や外向のシルエットはあまり出てきません。
外向傾とは?外向と外傾の違い
外向は「向き(回旋)」、外傾(がいけい)は「傾き」の話です。外傾は、脚がターン内側へ傾くのに対して、上体をターン外側へ傾けてバランスを取る姿勢のこと。横から見ると「くの字」のシルエットになります。
この外向と外傾を組み合わせた姿勢が「外向傾(がいこうけい)」です。ターン後半で強い外力に耐えるには、外向だけでなく外傾もセットで考えるのがポイントです。

スキーの外向は「何に対して」かで意味が変わる
外向で一番つまずきやすいのが、「何に対して」外を向いているのかという基準です。ここを曖昧にしたまま練習すると、本当にわけの分からない動きになってしまいます。
スキーの向きに対する外向(この記事の基準)
この記事でいう外向・正対・内向は、すべて「スキーの向き」に対する体の向きです。スキーはターン中に向きを変え続けるので、同じ体の向きでも、ターンのどこにいるかで外向にも正対にもなります。
フォールラインに対する外向・正対
一方で、体の向きをフォールライン(斜面の真下へ向かうライン)を基準に見ることもあります。たとえば、上体は斜面の下を向いたまま、スキーだけが左右に向きを変えていく滑り。このとき上体は、フォールラインに対しては正対しています。
このとき、スキーの向きに対して見ると、体は外向していることになります。つまり「フォールラインに対しては正対」でも「スキーに対しては外向」という状態が同時に成り立つわけです。レッスンで「もっと谷を向いて」と言われたら、どちらの基準の話なのかを意識してみてください。
スキーの外向は上半身で作らない|股関節の動きの結果として出る
「体を外へ向ける」と聞くと、上半身を捻って外向の形を作りたくなりますよね。ですがSnowHubでは、外向は上半身で作る形ではなく、股関節から脚を回した結果として出てくるものだと考えています。
ワタル僕のイメージでは、外向は上半身から作りにいくものではありません。股関節主体の回旋動作を行った結果、体が外向しちゃってるように見える。これが理想の外向傾だと考えています。形を作るのは上半身ではなく、むしろ下半身の動作です。
股関節から脚を回すと、上体はそのままでもスキーだけが向きを変えていきます。その結果、スキーの向きに対して体が外側を向いた状態、つまり外向になるわけです。外向を「作る」のではなく「出てくる」と捉えると、余計な力みや腰外れを防ぎやすくなります。
外向が出るタイミングはターン後半(山回り)
外向はターン中ずっと出し続けるものではありません。ターンの前半と後半で、体の向きの役割が変わります。
ターン前半(谷回り)は正対〜内向
ターン前半、つまり谷回り(スキーがフォールラインへ向かっていく区間)は、正対、もしくは少し内向くらいが目安です。内向を使うなら、このタイミングで出していくのがよいでしょう。雪面をスムーズに捉えやすくなります。
ターン後半(山回り)で外向が出る
外向が活躍するのはターン後半、つまり山回り(フォールラインを過ぎて斜面を横切っていく区間)です。ターン後半に、スキーの向きに対して外向が出てくる。これがターンを安定させるポイントです。
外向でターンが安定する理由
外からの強い力に耐えやすくなる
スキーのターン中には、日常生活ではありえないほどの負荷が体にかかります。特にターン後半は、ターンの外側へ引っ張られる力が強くなる区間です。外向が出ていると、この外からの力に体が対抗しやすくなります。
外傾と組み合わせると外足に乗りやすい
外向がとれていると、外傾の「くの字」も作りやすくなります。外向と外傾がそろった外向傾の姿勢になることで、外足にしっかり乗って、外力を受け止められるようになります。ターン後半に「なんとなく不安定」と感じる人は、この外向傾が崩れているケースが多いです。
スキーの外向の練習方法【4ステップ】
ここからは、外向を身につけるための練習を4つのステップで紹介します。大切なのは、上半身で形を作りにいかず、股関節(脚の付け根)から動かすことです。
- 正対で滑れるか確認する
- プルークで外向の適量を知る
- ターン後半だけ少し外へ
- 外傾を足して外足に乗る
STEP1:まずは正対で滑れるか確認する
いきなり外向を意識する前に、まずはスキーの向きと体の向きをそろえた「正対」で滑れるかを確認しましょう。正対が基準になっていないと、どこからが外向なのか自分で判断できません。
STEP2:プルークで外向の「適量」を知る
「どのくらい外を向けばいいの?」という疑問には、プルーク(ハの字)が目安になります。
斜滑降の向きで、両足をハの字に開いたプルークの姿勢を作ります。
その状態から、山側にある足を谷側の足にそろえにかかったと仮定します。
このとき体が向いている方向が、外向の上限の目安です。これ以上外を向くと「腰外れ」、これより内を向くと「内向」と判断します。
STEP3:ターン後半だけ少し外へ向ける
まずはスピードを抑えられる緩斜面で、ターン前半は正対のまま入り、フォールラインを過ぎたターン後半だけ、スキーの向きに対して体が少し外を向くようにします。ここで意識したいのは、上半身を捻るのではなく、股関節から脚を回して、スキーの向きを変えていくことです。
脚を股関節から回していくと、上体はそのままでもスキーだけが向きを変えるので、結果的に体がスキーより外を向いた状態、つまり外向に見えるようになります。
{ワタルの専門知見:STEP3で使っているおすすめのドリル・練習方法}
STEP4:外傾を足して外向傾で外足に乗る
ターン後半の外向に慣れてきたら、外傾を足して外向傾の姿勢を作ります。上体をターン外側へ少し傾けて「くの字」を作り、外足でしっかり外力を受け止めましょう。外足の上に体が乗っている感覚が出てくれば、ターン後半がぐっと安定してきます。
{ワタルの専門知見:STEP4で外向傾を作るためのおすすめドリル}
外向のやりすぎはNG|よくある4つの間違い
外を向きすぎると「腰外れ」になる
STEP2のプルーク基準より外を向いてしまうと、いわゆる「腰外れ」の状態になります。外向は大きければいいわけではなく、「若干」で十分です。
ターン前半から外向すると板を踏めない
外向はターン後半の姿勢です。ターン前半から外向が出てしまうと、板をしっかり踏めなくなります。
ワタル実は僕自身、ターン前半に外向が出る癖があります。ぶっちゃけ、これが出ると板をあまり踏めません。勘のいい人は動画で気づいていると思いますが、ここはマネしない方がいいポイントです。{ワタルの専門知見:ターン前半に外向が出ると板を踏めなくなる理由の体感}
肩だけ捻って外向を作るのはNG
「体を外へ向ける」と聞いて、肩や上半身だけを捻ってしまうのはよくある間違いです。外向は股関節から脚を回した結果として出てくるものです。上半身だけを捻ると軸が崩れ、外足にも乗れなくなってしまいます。
{ワタルの専門知見:外向を意識しすぎた生徒さんによく見られる失敗例}
外向そのものが目的になっている
外向が出ているからといって、それだけで上手く滑れるわけではありません。外向はあくまで、ある目的を叶えるための手段です。その目的については、次の章で解説します。
外向は手段|本当の目的は板をたわませて走らせること
もっと根本的な話をすると、スキー板がしっかりとたわんで、スキーの性能を引き出せていれば、体の向きは内向でも構わないと個人的には考えています。スキーヤーが本当に求めているのは「スキーを走らせたい」「スキーをコントロールしたい」ということで、外向はそれを実現するための手段の一つにすぎません。
ワタルたとえるなら、オムライスを食べに来たお客さんを満足させるために、バターライスを使うか、ケチャップライスにするか、という選択肢があるとします。外向は「ケチャップライスの方が無難ですよ」というイメージ。つまり、外向は「やっとけば安牌」な選択肢なんです。
なお、検定では見た目も採点の対象になります。検定を受ける人は、ターン後半に外向傾が出ているかを意識しておくと安心です。
スキーの外向に関するよくある質問
外向と外傾の違いは何ですか?
外向は体の「向き(回旋)」、外傾は体の「傾き」です。外向はスキーの向きに対して体が外側を向くこと、外傾は上体をターンの外側へ傾けることを指します。2つを組み合わせた姿勢を外向傾と呼びます。
ターン前半の体の向きはどうすればいいですか?
ターン前半は外向を作りにいかず、正対くらいの気持ちで外足に乗り、板をしっかり踏むことを優先しましょう。ターン前半から外向が出てしまうと、板を踏みにくくなります。外向は、股関節から脚を回していった結果として、ターン後半に自然と出てくるものです。
外向とローテーションの違いは何ですか?
ローテーションは、上体がスキーと一緒に回ってしまい、体とスキーが同じ方向を向いたまま曲がっていく状態です。外向はその逆で、スキーの向きに対して体が外側を向いている状態。ターン後半に体がスキーと一緒に回り込んでしまう人は、ローテーションになっている可能性があります。
内向はダメな姿勢ですか?
ダメではありません。内向はターン前半(谷回り)で雪面を捉えるのに使える姿勢です。板がしっかりたわんでスキーの性能を引き出せていれば、体の向きの正解は一つではありません。
カービングスキーでも外向は必要ですか?
今のスキー板はターン性能が高く、昔ほど強い外向傾を作らなくても曲がれます。ただし、スピードが出たターン後半のように強い外力を受ける場面では、外向傾が出ていると安定しやすくなります。
検定で外向は見られますか?
検定では滑りの見た目も採点の対象になるため、ターン後半に外向傾が出ているかは意識しておきたいポイントです。{上野桃子の専門知見:検定で外向傾がどのように見られるか}
まとめ|スキーの外向はターン後半に少しだけ、股関節から
スキーの外向について、ポイントを振り返ります。
- 外向はスキーに対して体が外向き
- まず「何に対して」かを確認する
- 外向が出るのはターン後半
- 適量の目安はプルークの向き
- 上半身でなく股関節の動きの結果
外向は形をマネするものではなく、スキーを走らせ、コントロールするための手段です。まずは次の滑走で、「ターン後半だけ、股関節から少し外へ」を試してみてください。それだけで、ターン後半の安定感が変わってくるはずです。
ワタル・桃子自分の外向が合っているか分からない、ターン後半の不安定さを最短で直したい。そんな人は、レッスンで実際の滑りを見ながら一緒に確認してみませんか?

