廃墟化したやまびこの丘スキー場に隣接する現役スキー場の責任者に復活の可能性を聞いた結果…

かつては5つのスキー場が1つに繋がり、長野における巨大スノーリゾートとして注目された木島平周辺エリア。
しかし今、その中間地点にあった「やまびこの丘スキー場」は静かに姿を消しました。
今回、私はこの場所を訪れ、隣接する現役スキー場の責任者に「復活の可能性」について直接話を聞いてきました。
廃墟となったスキー場が繋いでいた夢のスケール
長野県の木島平エリアには、かつて「木島平」「牧の入」「やまびこの丘」「X-JAM高井富士」「よませ」という5つのスキー場が、リフトや共通券で繋がっていた時代がありました。
すべてのコースを合算すると40本を超えるビッグスケールで、野沢温泉や志賀高原にも引けを取らない、いわば“信州の巨大スノーリゾート”だったのです。
しかし、2017-18年を境に「やまびこの丘スキー場」が営業を終了。その廃業により、エリア全体の一体感が失われ、5つのスキー場は分断される形となってしまいました。
現在の「やまびこの丘」跡地を歩く
現在、やまびこの丘スキー場の跡地は「 山に恋するキャンプ場(やまびこの丘公園)」という名で、アウトドア施設として別の用途で再活用されています。
現地を訪れると、かつてのゲレンデ跡が木々に覆われながらも、コースの痕跡をうっすらと残しています。いわゆる“V字型”のレイアウトやリフト基地跡がそこにはありました。
筆者自身、廃墟好きな一人として、寂しさと同時に「もしここが復活したら…」という希望を抱かずにはいられません。
現役スキー場の責任者が語る「復活の現実」
この地をかつて構成していた「スノーリゾートロマンスの神様(旧・木島平スキー場)」の現役責任者・西下さんにお話を伺うことができました。
結論から言えば、「復活は現実的には難しい」というのが率直な見解です。
- すでに廃墟化した旧ホテル「シュネスベルク」などの施設は維持が困難で、すでに村に返却済み
- 冬場の運営に注力するだけで手一杯で、夏場の事業展開や再開発には手が回らない
- かつての共有チケットは存在していたが、販売終了後は再開の見込みはなし
とはいえ、西下さんは現在現地の担当者として、過去の経緯を丁寧に教えてくれました。旧スキー場を知る料理長なども現施設(スノーリゾートロマンスの神様)で働いており当時を知る方も多く存在するとわかりました。
まとめ|夢が途絶えた場所で、それでも繋がる“記憶”
「やまびこの丘スキー場」は、地図からは消えてしまいましたが、地域の人々や関係者の記憶の中には今も息づいています。
現役で営業を続けるスキー場がある限り、その可能性の火種は完全には消えていないのかもしれません。ただ、復活には莫大な資金と地域の協力が必要であり、現時点ではそれを見込める状況ではないのが実情です。
復活させることが必ずしも正解とは限りません。大切なのはどういう歴史があって今があるのかを知ることだと思います。