全面改訂された日本スキー教程を読んでみた|忖度なしで良くなった点・悪い点をレビュー|スキー検定受験者・指導員向け
全日本スキー連盟(SAJ)が提唱する「ナショナルスキーメソッド」が10年ぶりに全面改訂されました。
本書は、最新のスキー技術や指導法に対応する内容として注目を集めていますが、実際のところその内容はどのような評価に値するのでしょうか?
この記事では、第三者の視点からこの一冊の構成や特徴、メリット・デメリットについて詳しくレビューします。
1. 新しい「ナショナルスキーメソッド」の概要
今回の改訂版は、ポジション、エッジング、荷重動作といったスキーの基本を再定義し、プルークボーゲンからパラレルターンに至る一貫した指導法が特徴です。DVDとQRコードによる映像連動で、誌面とのスムーズなリンクを狙っています。
スキー指導者だけでなく、検定を目指す一般スキーヤーにも役立つことを意識した構成が見て取れますが、どの程度その効果が期待できるかが焦点となるでしょう。
2. 一貫した指導法の評価
初歩的な動作から応用的なパラレルターンまで、ステップを踏んで進められる構成は体系的ですが、初心者にとっては若干難易度が高い印象を受けるかもしれません。特に、プルークボーゲンからパラレルターンへの移行部分は丁寧な説明がされているものの、実際に教える場面では個々の理解度に応じた柔軟な指導が必要と感じました。
一方、経験者や指導者にとっては、基本から応用までを再確認できる良い機会になるでしょう。
3. 映像連動型の教材としての価値
DVDとQRコードでの映像提供は、学習者にとって有益な要素です。映像を見ながら実技を学べる点は魅力ですが、QRコードがオンライン環境に依存するため、現場での活用に課題があるかもしれません。また、映像のクオリティは高いものの、すべての動作が細部まで見やすいかどうかには改善の余地があると感じます。
4. 安全面への取り組みとその実効性
リスクアセスメントやPDCAサイクルの活用など、安全面への配慮は評価できます。しかし、理論的な解説に重点が置かれているため、現場での実践的な指導に結びつけるには工夫が必要かもしれません。特に、子どもへの指導方法については、もう少し具体的な事例があればさらに有効だったでしょう。
5. 課題と改善の余地
全体として有益な内容が多いものの、以下の点で改善が求められるかもしれません:
- 初心者向けの理解のしやすさ:用語や技術解説が専門的で、初心者には少々ハードルが高いと感じました。
- オンライン要素の利便性:QRコード活用は便利ですが、ネット環境がない場所での代替手段があるとさらに良いでしょう。
- 実践例の不足:特に不整地や応用技術について、具体的な実践例が増えることで、現場での指導がしやすくなるでしょう。
6. まとめ
「ナショナルスキーメソッド」の改訂版は、指導者から一般スキーヤーまで幅広く活用できるポテンシャルを持っています。ただし、すべての読者にとって完全に満足できる内容に仕上がっているとは言い切れません。体系的な指導法や映像連動の試みは評価できますが、初心者向けのフォローや実践的な例の不足など、改善すべき点も見受けられました。
とはいえ、指導法の見直しやスキルの向上を目指す人にとって、この一冊は一読の価値があるでしょう。自分のレベルに合わせて、必要な情報をうまく活用することが鍵となります。
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